帰還

2/7
前へ
/60ページ
次へ
急激に全身から血の気が引いていくのを感じた。 後輩たちはまだ居間で、美優の存在に気づいていない。 俺が美優の存在に気づいて足を止めていた時間は1秒も無かったろう。 俺は反射的に美優に向って飛び掛かっていた。 しかし、美優との距離は3メートルはあっただろうか。 美優が俺の接近に気づいて、ナイフを持つ右手を振りかざすには十分だった。 ブンッ! 美優は、もしかしたら振りかざすつもりなどなかったのかも知れない。 しかし、いきなりの俺の接近に美優も驚いたのだろう。 ともかく、余計な硬直をする前に俺は動いてしまった。 いままでの喧嘩の経験から、それが最善だと判断したからだ。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加