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―東京都新宿区 新宿駅
カツヤ君との待ち合わせは、歌舞伎町に程近い新宿駅だった。
ガキの頃、しょっちゅう来ていた新宿。
東口の改札をくぐると、東京独特の匂いが鼻を衝く。
「…歌舞伎町の匂いだ」
匂いが引き金となり、過去の記憶がフラッシュバックされる。
のし上がろうと必死だったガキの頃。
周りの激流に抗う事無く、何の迷いもなく、てっぺんを取ろうと躍起だったあの頃。
新宿の地を踏みしめ、待ち合わせ場所に向かうたびに、
俺の中で、ギラギラしたあの頃の自分に戻っていくような感じがしていた。
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