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「津田会長…これから、どうなるんですか?」
津田会長は、長身でやせ形の人だった。
しかし時折見せる鋭い眼光に、俺はこの人の底の深さを感じていた。
俺の心情を察してか、不安な表情を浮かべる俺に、津田会長はなだめるように言う。
「いや、お前は心配しなくても大丈夫。俺が面倒を見てやるから」
会長は俺の家の事情を知っていた。
当時、俺の家には後輩たちが10人ほど住んでいた。
俺と同じように、地元に居られなくなった奴らだ。
1人を受け入れると、次から次にやってきやがって、その人数になっていた。
でも俺は、俺を慕うそいつらが大好きだった。
家族のように思っていた。
そいつらはそれぞれ日雇いの仕事などをしてはいたが、
そいつらを食わして行かなきゃならないと、俺はどこかで責任感を感じていた。
心配しなくても良いと言う会長の言葉に、最初の頃は甘えていた。
(会長、有難うございます。助かります。)
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