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電話の先にいるのは、俺が埼玉でお世話になっていた、
アウトロー時代の先輩、カツヤ君だ。
「おう雄一、最近大変らしいな」
カツヤ君は、厳しい人だったが、俺の事は良く気にかけてくれていた。
この時も、どこかから会社倒産の話を聞いて、俺に電話をくれたのだろう。
「そうっすね…こんな状況で、新しく何か仕事しなきゃって感じです」
「そうか……」
俺が現状を一通り話すと、カツヤ君がいきなり切りだした。
「雄一、お前歌舞伎町でホストやってみねぇか?」
カツヤ君が、歌舞伎町でホストクラブを経営していたのは知っていた。
しかし、当時俺にはホストと言う職業に対し、どこか蔑んだ見方をしていた。
「ホスト…ですか?」
「俺の店、今人を探してんだ。
結構繁盛してて、忙しいんだよ。
お前なら適職だと思うんだが、どうだ?」
「いや、カツヤ君、話は有難いけど俺にはホストはちょっと…」
「お前、半端なくモテてたろ。
そんだけ女の扱いが出来る奴が、ホストに偏見持ってるとは言わせねーぞ」
確かに、女にはガキの頃からモテていた。
昔は不良=モテると言う時代。
小学校4年にして、バレンタインのチョコを40個くらい貰っていた。
その後もずっとそんな感じで過ごしていて、
実はこの当時も仙台に5人の彼女が居た。
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