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「ホストって、軟派でチャラチャラしてると思ってないか?
そりゃそんな奴もいるけど、まともな奴も多いんだぜ。
お前の暴走族時代の知り合いも多いし、
みんな頂上を獲るためにギラギラして必死でのし上がろうとしている。
喧嘩だってしょっちゅうだ。」
そして、こう言った。
「お前、ホストを馬鹿に出来るほど立派な生活してるのか?」
俺は言葉に詰まった。
確かに仕事はしていたが、俺は昔と変わらず、女、酒、暴力の日々を送っていた。
しかも、今はその仕事すらない。
…そう考えた時、俺はホストと言う職業をを否定できなかった。
「…ホストってのはなぁ、男を買ってもらう職業なんだよ」
その瞬間、俺の中で何かが繋がった気がした。
ホストは、男を買ってもらう。
女性にお金を払ってもらうけど、それは人の価値を買ってもらうようなもんだ。
魅力のない人間には金を払う価値が無い。
それが、ホストというシビアな世界だ。
俺は産まれてからずっと今まで、
男を売るために生きてきた。
自分を認めてもらうため、自分を買ってもらう為、
自分と言う男を周りに誇示してきた。
そうか、ホストも変わらないんだ。
そう考えた時、俺の考えは決まった。
「…やります」
俺はホストの世界を、面白そうだと感じていた。
こうしてホストの世界に足を踏み入れる事になる。
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