虚構

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「なるほどね。初めて見た」  魔法弓はその名のごとく魔力を矢として打ち出せるものだが、最大の特徴は付属する矢筒。その中には使用者本人の魔力をストックでき、その量は武器の質にもよるが本人が普段持っている以上の魔力を貯めておくこともできる。  確かに闇属性という不安定な魔力をその場その場で操るよりは、用途は限定されてるとはいえ本人の負担なく扱えるのは大きなメリットになるのだろう。かなり高価なものだったはずだが、それでも持つだけの意味がある。 「まあ、魔法弓って全部オーダーメイドだからな。見たことないのも無理はねえだろ」  オーダーメイドというのは初めて聞いたが、おかげで高価であることも合点が行った。 「みんな武器持ってるなんて珍しいね」  唯一武器を持っておらず会話を静観していたユリが呟く。彼女も武器が使えてもおかしくはない……というか、アクトから見れば持っていないのは意外でしかないのだが。 「ユリは武器とか持ってないんだ。なんか銃とか持ってそうなイメージだったけど」 「えっ? ううん、私あまり戦闘得意じゃないから……治癒魔法とかは得意だけど」  魔法特性は母に似たのだろう。ファミリーネームが違うのも家柄のイメージとユリの特性が違うから……いわゆる世間体というものだろうか。  彼女の母だって有名な人なのだから隠さなくてもいいと思うのだが、わざわざそうしている理由があるのだろう。どうせいつかはアクトとユリの両親に面識があることはユリにはわかってしまうだろうし、そのときに聞けるかもしれない。  程なくしてイルガが軍の者を連れて現れて、自然と静かになった。人数を数えて揃っていることを確認し、バラバラと広がっている生徒に近寄るように促す。
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