逃げた先

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 教室の指定された席について、辺りを見回した。近い年齢の人がこれだけ集まっている状況は初めてで、すでに仲良く談笑している姿などを見ると驚いてしまう。 「おはよ!」  唐突に隣から声をかけられてそちらを向くと、赤毛をポニーテールにしている女子が隣の席に腰かけてきた。 「おはよう」 「私、アズサ・クリア。お隣さん同士、よかったら仲良くしておくれよ」  ヒマワリのような笑顔を浮かべる彼女に、自然と笑みがこぼれる。 「アクト・ストードだ。こちらこそよろしく」  アズサはすぐに目の前の女子にも挨拶をして、そのまま二人で話し始めてしまった。周りの席でも同じように新学期特有のざわつきに包まれていて、それに慣れていないアクトは一つ息を吐く。 「どうしたの?」  急にアズサに声をかけられ、驚きながらも首を横に振る。 「いや、なんでもない」 「ふぅん? あ、この子ユリっていうんだ。ユリ、こっちはアクトね」  唐突に紹介されて、軽く挨拶を交わす。魔力が知っている人物によく似ていて、そういえばアクトと同い歳の子どもがいると聞いたことがあるのを思い出した。明るい茶髪に薄い青の瞳。顔立ちは母の方によく似ている。 「よろしくね、アクト君」 「こちらこそ。得意属性は水?」  少しだけ鎌をかけるようにして聞くと、首を横に振る。返ってきたのは予想通りの答えだった。 「一番得意なのは光だよ」 「私は火が得意」  アズサも話に乗って話してきて、ユリがくすくすと笑う。 「それは見ればわかるよ……アクト君は?」 「俺は風かな。光も使える」
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