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三人が見ているのに気づき、苦笑いを浮かべる。
「寝坊した。セーフ?」
「……入学式出てないの?」
「出席は取ってないからいいんじゃないかい」
「まあ……大丈夫じゃないか」
多数決だとでも考えたのだろうか、男は一転して明るい笑みを浮かべた。
「よっしゃ。俺、キリト・クーリッド。キリトでいいぜ」
三人が順番に挨拶すると、何度か名前を復唱して頷いた。
「覚えた! よろしくな」
「よろしく……なあ、もしかして闇属性か?」
他の何色も混じっていないような漆黒の髪と瞳。アクトの判断材料はそれだけではないのだが、思わず聞いてしまう。
「ん? よくわかったな。堕ちちゃいねえから安心してくれ」
気づいた理由はともかくとして、聞いた理由はわかったのだろう。学校に進学している時点で大丈夫であることはわかってはいるのだが、闇属性というだけで警戒してしまうのは仕方がないことだ。
「まあ、あんた底なしに明るそうだからそうだろうけど……」
アズサの呆れた声に、キリトはだろ? と笑った。
「まあ、今んとこは心配しなくて大丈夫だぜ。一応自分の魔力とは上手く付き合ってるから」
「そうか、ならよかった」
表向きはそう言いつつも、少しだけうらやましいと思ってしまった。
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