逃げた先

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 修練場は想像以上の広さで、五十人が各々魔法の練習をしても問題なさそうなほど。今はその半分ほどの面積を使用して魔法陣を用いた結界が設けられていて、入口のすぐ側でクラス別に待機するよう指示がでている。  今日はキリトも時間前に現れて、アクトは内心ほっとしていた。 「ちゃんと起きられたんだ」  アズサが茶化すと、うるさい! とわざとらしく反論する。 「二日連続遅刻してたまるか」  他愛のない話をしていると先生が五人入ってきて、ざわついていた室内が静かになった。イルガが前に出て、軽く礼をする。 「おはようございます。今日は身体測定と魔力測定を行います。身体測定はこの修練場の隣にある更衣室で、魔力測定はあの結界の中で行います」  音属性の中ではもっともポピュラーな声の増幅魔法。全員に指示が行き渡るように、なおかつうるさくない程度に調節されている。五人の中では一番若く見えるが、全体指示を任されたのはこの魔法によるところが大きいのだろう。 「一組は魔力測定、二組は身体測定から行うので二組は移動します」  アクトたちは二組。男女別れて更衣室で身体測定を行った。終わった人から修練場に戻る形で、直前だったキリトと一緒に移動する。 「身長いくつだった?」 「一七四センチ。キリトは?」 「一七八。八〇超えたと思ってたんだけどなぁ」  キリトはかなり体格ががっしりとしているため、実際の身長よりも確かに大きく見える。身長で一喜一憂するのが年相応で、キリトにとってはどうということのない会話なのだろうが新鮮に感じた。 「二人ともおつかれー」  アズサとユリも戻ってきて、身長の話で一通り盛り上がる。しかし、すぐに魔力測定の話へと移っていった。 「属性の測定ってなんだろうな」 「あぁ……たぶん魔力測定に使う魔水晶を加工したものだぞ。基本属性はもちろんだが、特殊属性も一般的に知られてるものなら反応するはずだ。というか、検査対象の人が気づいていない特殊属性の資質を見つけるために使われている検査だからな」 「魔水晶に記述のない属性を持ってても、たしか検出不能で色が出たと思うよ」  ユリに補足説明されて、思わずそうなのかと呟いてしまう。 「へぇ、知らなかった」  アズサもきょとんとしているのを見ると、属性測定はあまり一般には知られていないらしい。 「そういうことならますます楽しみだな」
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