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自分の番が来て、少し緊張しながら結界の中へと入る。
「よろしくお願いします」
軽く頭を下げると、イルガはこちらこそと気さくに笑った。
「それじゃやっていくぞ。まずは魔力測定な。これに手を置いてくれ」
手袋をした状態で差し出されたのは、魔力に応じて反応を示す魔水晶。鈍く濃い赤色に変化した魔水晶に、イルガが苦笑いする。
「どうなってんだ、その魔力」
色は魔力の質を、光量は量を表す。量は平均よりも劣る。しかし、黒みがかっているともいえる赤色は、常人レベルではない質を持っていることを示していた。
質のよさは魔法の発動速度や威力、そして効率に関わる。質がよければよいほど少ない魔力量で強力な魔法を放てるのだ。アクトは少ない量を補ってあまりあるほど。
「……まあ、魔力の性質なんて千差万別ですし」
苦し紛れの言い訳に、イルガは首を横に振った。
「いいじゃないか、間違いなく強みなんだから。じゃあ次は属性検査なんだが、まあ待っている間見てたならわかるよな。基本属性と自分の自覚している特殊属性は軽く見せてらっている。それぞれの初級魔法でいいから使ってみてくれ。得意な順で構わない」
そう言って、イルガが結界の端へ寄る。大きく深呼吸して、魔力を落ち着けてから頷いた。
「それじゃあ、風から」
イルガのいるところを避けられる自信はない。イルガの周囲に結界を張ってから、魔力を放った。
轟音と共にアクトの周りに鎌鼬が荒れ狂う。やりすぎたと思ってすぐに消し去ったが、イルガに顔を向けるのが怖かった。結界を解きながら、少し顔を背けてしまう。
「すみません、あまりコントロールは上手ではなくて」
「いや……今の、鎌鼬なのか?」
「……上級魔法を使うために魔力を練るのが苦手で基本これしか使わないですし、練度の問題もありますけど」
もちろん上級魔法を使おうと思えば使えるのだが、魔法を組み立てるくらいならば高威力で鎌鼬を使った方が速い。とはいえ初級魔法に高い殺傷力を持たせることは至難の業であり、アクトの話したように初級魔法の威力は「魔法を使う慣れ」が色濃く反映される。
「……とりあえず続けてくれ」
まだ衝撃から立ち直れていないようだったがそう促されて、手のひらの上に光の玉を作った。風や雷属性はどうしても攻撃的な魔法になってしまうが、それ以外であれば手のひらの上で完結させられる。続けて水属性も終わらせて、次の属性に一瞬迷った。
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