逢いたい(GL)

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 噴水のたまっている水に顔をひょこっと出す。水面には私と香苗の姿が映った。 「ううん。私ね、来月には引越しするんだ。だから、もう一緒にはいられない」突然の別れの告白だった。つらそうな顔をして、つらそうな涙を香苗は流した。 「大好きなのに、一緒にいたいのに」そう言って泣き出す香苗。私も思わず泣いてしまった。 私たちの流した涙は、水に落ち波紋を作った。私は静かな声で話し出した。 「あのね、おばあちゃんから聞いたことがあるんだけど。私たちって前世っていうのがあるらしいんだ。それで、そのときに仲良くなった人とは五百年後に再会できるようになっているんだって。だから、私たちもきっと五百年後に再会できるんじゃないかな?」 「本当?」涙声の香苗は私に訊ねる。 「うん。だから、五百年後にさ、今度は私が男として香苗と会うからそのときは一緒にいてほしいな」香苗はにっこり微笑んで大きくうなずいた。お互いに小指を出して、あるおまじないをする。 「「指きりげんまん、うそついたらはりせんぼん飲ます、指切った!」」いつかまた逢おうね。そう言って私たちは別れた。
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