私の大切な人(NL)

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 春の風が吹く今日この頃。桜の花がようやく咲くこの季節が私は好きだ。私の名前は香織。髪は小学生のときからずっと伸ばしており、今は腰の辺りまで伸びている。いつものように一つくくりでくくっている。私が今いるここは、教室の窓際。私はここで本を読むのが好きだった。中学生になってからおとなしくなったとよく人に言われるようになった。小学生の頃に比べたら友達も多くなったかな?  今日もちょっとだけ窓を開けて、窓際の席に座って本を読む。いつもより早めに学校に来て、この席に座り、本を読む。外の音が聞こえる。朝練をしている野球部の声。鳥のさえずり。私は耳を済ませて、ある音に集中する。 ちょっと小走りな感じの靴の音。その音が聞こえたら、私はそっと本を読むのを止める。廊下側を見る。そこには楽しそうに登校する貴方の姿が見えた。姿を見ただけで、胸がきゅんとしてしまう。名前も知らない貴方に私は恋をしてしまいました。  貴方はいつものように荷物を置いて、颯爽と体育館に行く。バスケ部だということは知っている。いつも誰よりも早く来て、練習を1人でしていることを私は知っている。今日も貴方にばれないようにそっとのぞきにいく。
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