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しかし、教室の入り口には達也君がいた。照れくさそうに微笑んで私にお礼を言った。
「昨日はありがとう。おかげで元気が出た」そう言ってハンカチを渡された。
「いえ、その...。がんばってください」達也君は私の顔をまじまじと見た。顔があげられない。恥ずかしかった。
「いつも朝早くから俺の練習を見ていてくれていたんじゃねえの?」驚いて私は下を向いた。
「本当はうれしかった。こんな俺でも応援してくれる人はいるんだってな」
「え?」つらそうな顔をする達也君。
「あんなに練習しているのに、どうして誰にも認められないんだろって。自分を嫌いになっていた。だけど、ちゃんと見てくれている人もいるんだって」そしてまたうれしそうに笑った。
「香織ちゃん、これからも俺の練習を見てくれないか?いつでも歓迎してるぜ」私は照れくさそうに微笑んだ。
「うん」私はこの暖かい春の季節が今でも好きだ。
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