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それは赤い月だった。
高校のクラブの帰り、川を渡る高速沿いに工場が立ち並び、その上のぽっかり空いた空間に大きな大きな血が滲んだような赤い月が浮かんでいた。
ぞわり、そんな音が聞こえてきそうな程に肌が粟立ち総毛立つ。それは今でも鮮明に頭に刻まれている。
今から13年前、ちょうどノストラダムスの予言が取り沙汰れていた頃。
不気味な月にどこか浮かれ、少し怖じけづいた。
それでもその年に天から災害は訪れることがなかったのは、今の我々の存在が証明している。
しかし、人の命は儚いもの。
何があって死ぬか分からない。
また逆に、人の命はそうそう消えない物でもある。
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