2人が本棚に入れています
本棚に追加
―コンコン。
すると、私を引き戻すようにノックの音が鳴った。
「…お母さん?」
「いや、父さんだ」
ノックの主はお父さんだった。普段部屋まで来ないから、突然の来訪に少し驚いた。
「…珍しいね。どうしたの?」
さっきの今だから、なぜ来たかは明白なのだけど。
「ご飯はどうする?」
…予想外だった。
てっきり、さっきのことでお叱りをいただくと思っていた。
確かにいつもなら夕飯の時間だけど、頭も疲れているし、なによりケーキを食べてきてお腹が少し満たされている。
「んー。わかんない。食べられたら食べるよ」
まぁ、無難な返事。
「わかった」
そしてお父さんも無難な返し。親子だね。
「あー…一つ、言い忘れていた」
「何?」
「…私と母さんは、お前を応援するぞ」
…急に驚くようなことをいう。
まったく、親子だ。
「ありがと」
感謝の言葉はすんなりでた。
「…頑張れ」
ぶっきらぼうな、暖かい言葉。私は階段の降りる音を聞きながら、満たされた気持ちで眠りについたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!