終わりの始まり

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「ごめん、ちょっといいかな?」  高校生となって2回目の春、何の前触れもなく、それは起きた。  学校帰り、なんとなく立ち寄ったゲームセンターの貯金箱(クレーンゲーム)に「ポテくま」のぬいぐるみが飾られており、5千円札と等価交換してゲットした後のことだった。  声を掛けられた気がして、振り返ると、中肉中背でスーツを着た、いわゆるサラリーマンみたいな人が私のところへ駆け寄ってきた。  まったく見たことない人だった。  何のようだろうか。財布や定期券でも落としたか。  まさか、噂に聞くナンパというやつだろうか。  期待半分ドキドキ半分で「何をいうのか」と構えていた私に掛けられたのは 「アイドルに、なってほしい」  こんな予測不能の、とんでもない言葉だった。  だから、私の第一声が 「ヴァイ?」  こんな言葉だったのは、仕方のないことだ。  うん、仕方のないことだったのだ。
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