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赤川礼二(あかがわれいじ)は詐欺師だ。
話術の冴えない三流の、素人まがいのお粗末なペテン師だ。
スーツはよれよれ。髪は中途半端に整えられていて、本人はオールバックのつもりなのだろうがところどころ跳ねており、出来損ないのたわしのような頭になっている。
髪が乱れているのは先ほどまで走っていたせいもあるのだろうが、それにしては毛の流れが滅茶苦茶で、わざとやっているのでは? と思ってしまうほどである。
否。
これは仕様だ。
詐欺を円滑に進めるためのメッキといったところか。
一口に詐欺といっても、それにはいくつか種類がある。
赤川が得意とするのは結婚詐欺。
赤川の顔はひいき目にみてもハンサムとは言えないし、痩身の肌は色素が薄く、病的に白い。
間違っても遺伝子的魅力はない。
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