文章基礎講座ー文法編ー

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 英語において重要なのは、対象が人間かそうでないかです。そういった基本思想を根本に、宗教や哲学を発展させていったことは歴史が証明しています。  では、日本語は?  日本語において重視されているのは、対象が生きているか、死んでいるかです。つまり、日本人は死生観へのこだわりが強い、ということが分かります。  なぜこんな話をしたのかというと、日本語というのは比較的あやふやな表現が可能な言語である、ということを改めて認識してほしかったからです。  心霊という基本見えない、“あやふやなもの”に対する認識の強さ。はっきりとしない、雰囲気などから感じられる趣(おもむき)。  つまり、今いる『空間』への意識が強い、ということです。  では、それを文字のみで表現しなければならない小説などの場合、どうすればいいのか。  それは『描写』です。世界観がどうとか、主人公ヒロインがどうとか、そういうのは置いておいて。  日本語で小説の世界を表現するには、丁寧な描写が必要不可欠なわけです。究極、明確な登場人物など1人もいなくても小説は書けます。  端的に言って、ここで言っているのは面白い小説を書くために必要なことではありません。基礎中の基礎である、日本語とはどういった言語なのか、ということです。 「描写を書かないことで~~」などと謳う人は、意味も分からず難しいからと描写放棄しているのがほとんどです。エブにも多数いるそんな彼らが描くものは、ただ日本語を並べたものであり作品ではありません。はっきり言って読めたものではありませんし、私はその適当さに不快にすらなります。  ごく一部、あえて描写をしないことで読者の想像力に任せたまま、つまり決まった形を作らないまま美しく魅せるということができるとんでもない実力者がいたりしますが、そんな方は携帯小説なんかではなく、ちゃんと書いてさっさと小説家になってください。真似なんて不可能です。  次ページで、前述したことを意識した短文ーー3を書くので、参考にしてください。  次章より、今度は視点設定について語らせてもらいます。
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