姫と担任

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斜めに差し込む朝の日差しの中、枕に顔を埋めるように眠る彼女。木製のよくある二段ベッドの、下が物置のようになっているタイプの物に、彼女は眠っていた。  まるでこの世の怠惰全てを引き受けて、具現化しているように。 そして、神秘的に。  地毛だと言う、翠がかったさらさらの黒髪がカーテンを揺らした風に少しだけスライドする。  ベッドの残りの空間は、毛布とぬいぐるみに埋め尽くされている。丁度胸の上位の位置にあるベッドの前に、僕は佇んでいた。  コンコン、ノックの音がする。  彼女は起きる気配が無いので、代わりに返事をした。 「どうぞ」  ガチャ。扉が開いて、一人の女性が入ってきた。 「入るわよ、庵。あら?拓真君いたのね」 「はい、今日は庵と用事があるので」 「あらあら、庵の警護兼エスコートも大変でしょうに」  茶化したような台詞をこちらに向けた女性は、小夜(さよ)さん。庵の姉であり、今年高校二年生になった僕等よりかは四つ程年上だ。昔、僕らと同じ高校に通っていたらしい。茶色に染めたロングヘアが綺麗な人だ。 「また、頼まれごと?」 「はい、やっぱり庵じゃないとどうしようもないらしくて」
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