姫と担任

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朝の光が眩しい。 それはどうやら隣にいる庵も同じらしく、目を細めている。そうしている庵を見ていると、以前サンバイザーを嫌がった時のことを思い出してしまう。 本当に、あの時は面倒だった。 それはいいとして、僕は庵に今回の依頼について話しておく。 「庵、今回の依頼なんだけど、依頼主は担任だ」 「担任。今年の?」 「そう、今年の。」 庵と僕は、これまで何度か同じクラスになっているから、その確認だろう。 「待ち合わせは、『カモミール』だよ」 「ああ、あの喫茶店ね」 カモミールは、駅の近くにある喫茶店で、一時期小夜さんがバイトしていたこともある、僕らの中で比較的訪ねやすい喫茶店だ。 バス停までの道のりを、そんな雑談で埋めて行く。そろそろ秋だよな、なんて風が吹いて思っていたら隣の庵は陽だまりの猫に目を細めていた。 ある意味、秋の風物詩と言えよう。 学校指定の鞄を持って土曜日に歩く僕達は、部活動生と間違えられてたらいいな。 ちょっとした希望を横の人を盗み見て思う。でも、10時台って変な時間帯だよな。そう話しかけたら、隣はかなりディープなボカロ曲を歌っていた。 「庵、それは家の中で頼む」 「あら、いい曲じゃない」 そんなこんなで、バス停まで着いてしまった。
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