より速く、より高く、より遠くへ

入部(仮タイトル)

三年生から順に自己紹介をしていき、あっと言う間に一年生の番になる。

うわぁ。すごく緊張する。

小学生の頃はみんなの前でよくいろんなことをしていたはずなのに、ツバサとケンカしてからいろいろあり、僕は人前に立つのが苦手になっていた。

陰で笑われているんじゃないか？

そんな被害妄想が膨らみ、心臓がドキドキする。

それでも無情にも僕の番になる。みんなが僕の顔を見る。僕は目を合わせないように少し斜め上を見る。

え～と、とにかく名前とクラスと、あと希望の種目と一言だよな。

｢名前は赤川アキです。クラスは一年五組。えっとぉ種目は短距離をやりたいと思ってます。足は遅いですが頑張ります｣

そう言ってお辞儀をする。

パチパチパチパチ…

みんなの拍手を聞き、僕は、｢ふぅーっ｣と肩の力を抜く。

そしてみんなの自己紹介が終わり、今日は先輩達と一緒に軽く基礎練習をすることになった。