夢が叶った日

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━━中学三年の秋 『いちについて』 すぅー… と大きく息を吸い、少し止めてから ふぅー… とゆっくり息を吐き体をリラックスさせる。 僕はスタートラインに左足を合わせ、右足を少し引く。 『ようい』 僕は少し前に体重をかけ、スタンディングスタートの姿勢をとり息を止め、音に集中する。 …………。 パン!! 音と同時に足で地面を蹴り、じっと固まっていた体を目覚めさせる。 タタタタ… 視界の端に隣の走者が見える。 大丈夫。僕はスタートが苦手だ。ここからが勝負だ。 ピッチをあげ少しずつ加速していく。 タッタッタッタ… スピードにのってきたら少しずつストライドを伸ばし最高速へ近づく。 視界の端の走者は消えた。 タッタッタッタ… スピードを落とさないよう。腕をしっかり振り目はゴールの先を見つめる。 タッタッタッタ… ゴール! 少し流し、ゆっくりスピードを落とし、顔を上げ空を見上げる。雲は遠く。風が心地いい。 やったぁー!一位だ。
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