きっかけ

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━━小学六年の冬 ピッピーーー!! グランドに響くホイッスル。 前半が終わり、さっきまで青空の下でボールを追いかけていたみんながベンチに戻ってくる。僕はベンチの横でストレッチをしながらそれを眺める。 ってのん気にストレッチしてる場合じゃない! 僕もみんなと一緒にコーチを囲む。 「赤川、後半出すぞ」 「はい」 僕はいつも後半だけ試合に出る。もちろん秘密兵器だからではなく、補欠だからだ。 ポジションは左のウイング。左のウイングは攻撃のポジション。攻撃と言えば聞こえがいいが、本当は下手だからだ。下手な選手に守備をさせるとすぐに点が入ってしまう。そこで下手な選手は前の端にいかされるというわけ。その結果、なかなかこちらの点も入らないけどね。 ちなみに僕のチームは二軍。つまり僕は二軍の補欠ってこと。 体は充分すぎるほど暖まってる。僕はグランドへ走っていく。
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