三章:真夜中の来襲者

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   眩しい。朝、幼なじみに寝起きライト攻撃されたくらい眩しいです。    光で灰になる魔物の気持ちがよく分かります。消えてしまいたくなりますし。    ――数秒経過。光がようやく収まりました。恐る恐る目を開くと、闇は少しもなく、辺りには一面の白。   「注意するの忘れてたわね」    そして、ランプを床に置いて苦笑するフルスさんがいました。   「忘れないで下さい。私の命中率が下がったらどうしてくれるんですか? 責任とって結婚してもらいま」   「遺産はまだなくなってないわね」    ああ無視ですかそうですか。    無視されて当然なので特に気にせず、私も彼女に倣って視線を前へ。    私達がいるのは大きな部屋でした。お屋敷の中庭が丸々一つ入りそうなほど広く、壁も床も真っ白です。    道もなくここで行き止まりみたいでした。そして、私達が視線を向けた先、家具の類いもない質素な部屋の奥には、唯一の設置物。    台座です。やはり白一色なそれに、遺産らしきものが乗っていました。    透明な光る玉。色がありませんが、何故か周りとの境界を認識でき、玉がそこにあるのだと分かります。ガラス玉のようにも見えますが、圧倒的に違う。不思議な物質です。   「あれが遺産ですか? 盗って下さいと言わんばかりですね」   「継承者は遺産の位置が大体分かるらしいから、隠しても意味ないのよ。   でも防ぎ様がないわけじゃない。自分の遺産以外の継承は、時間がかかるわ。だから侵入がはっきり分かって、かつ到達まで時間がかかるこの場所に隠してあるの」    置いてあるの間違いでは?    心の中で呟きながら、一応は理に叶っていると納得。隠し場所が分かってしまうなら、仕方ありません。    侵入がはっきり分かる、という点は些か疑問ですが。  
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