三章:真夜中の来襲者

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   ショーウィンドー越しにトランペットを眺める少年のように、悪魔っ子を見つめる私。   「さて――今度こそいくぜ。二人がかりでもいいからな」    リュウヤはそんな私に聞こえるよう、はっきりと言い放ち、走り出しました。    速度は並み。着物の少女より遅い程度です。    私は咄嗟に抜刀。こうなっては仕方ありません。    リュウヤは強いです。私が本気で戦っても勝てるか分かりません。    戦えるか、なんて迷っている場合ではないです。わざわざ遺産を奪いに来たのです。リュウヤは絶対にフルスさんも私も切る。だから、守らないと。   「強気ね。ロウ、あいつが近づくまで前に出ないで」    言うと、銃を発砲。しっかりした構えをとり、フルスさんはリュウヤを狙い撃ちます。    しかし銃弾はいとも簡単に大剣によって弾かれました。    驚くべき反射神経、度胸です。一発命中すれば致命傷になりかねない銃弾に対し、彼は前進を止めない。防げると自信を持った動きです。    下、上、真ん中。フルスさんが銃を続けて三連発で、今度はそれぞれ違う場所に撃つ。素早く撃たれたそれすらも、大剣で容易く防御されます。    強い。最早人間を超えた反応です。これでは接近されたらどうなるか……。   「口だけじゃないと。上等ね。……時間を稼いでくれるかしら、ロウ」   「はい!」    彼の動きならば、それなりに分かります。抜いた剣を手に、私はリュウヤへ向かっていきました。  
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