三章:真夜中の来襲者

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   大剣と普通の剣。武器のリーチ差は大きい。技術の差もありますし、まともに切りあっては駄目でしょう。    よってここは、反撃中心の戦法をとることに。    大剣の届く範囲に入りました。私は剣を斜めに構え、空いていた左手を刃に添えます。   「ロウ、少しは強くなったか!?」    攻撃的な彼は直ぐ様剣を振るいました。暴風のような喧しい音を立て、巨大な刃が私へ接近します。右から左へ大振り。当たれば最悪、胴体を両断されるでしょう。    怖い。ですが、動かなくてはなりません。迫ってくる大剣とタイミングを合わせ、私は跳躍。斜め前へ進み、相手の横をとります。   「たあっ!」    攻撃の隙は与えません。即座に拳を相手の顔へ叩き込みます。    握った拳が痛くなるほどの手応え。ダメージは通った筈……ですが、リュウヤはよろけすらせずに反撃をしてきました。   「効かねえな。武器は使わねえのか?」    虫を払うように放たれた雑な裏拳。私は頭の前で腕を交差。反射的に防御の構えをとります。   「ぐっ!?」    しかし、貫かれる。防御などなかったかのように、私は跳ね飛ばされました。    訳が分からないまま床に叩きつけられて数メートルを転がり、ようやく止まります。    ……何を、されたんですか?    うつ伏せに倒れ、私はようやく思考をはじめることができました。    防御はしました。受け方も悪くありません。腕にしか当たってません。    ですが――飛ばされた。    腕に当てただけで、人をここまでぶっ飛ばす。理不尽な力。人間では有り得ない腕力です。    
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