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空中で刺され、静止するスライム。
それから動くことなく、数秒経つとあっさり事切れました。地面に落ち、消えてしまいます。
「これでおしまいですわね。あっけないわ」
短剣を軽く払い、少女は目を閉じて息を吐く。安心しているような仕草です。
確かに、あっけない終わりでした。しかしそれは、少女が圧倒的に強かったからです。
スライムの耐久力が低いとはいえ、あの華麗な動き……少女が強いのは疑いようがありません。
「さて……大丈夫かしら?」
短剣をしまい、少女が私へと近づく。私は剣から手を離して頭を下げた。
「あ、はい。お陰で助かり――」
「それにしても、あなた本当に弱いですわね。あんなスライムにタコ殴りにされるなんて」
「……」
口調は丁寧なのに、ところどころに言の刃が仕込まれているとはこれ如何に。
実体なくても受けたら遺体と呼ぶが如し。
私は肩を落とし、分かりやすいくらい落ち込みます。頭がクオリティ低い無理問答をはじめるくらいショックでした。
「ご、ごめんなさい。ちょっと言い過ぎたかしら。そうね、武器が刺さらなければあなただって相手できるわよね」
そして、分かりやすいくらい慌ててくれる少女。悪い人ではなさそうです。
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