一章:遭遇

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  「冗談です。本当はあなたに感謝しています。身体を差し出したいくらいです」   「やめなさい。……はあ、ふざけた人ね」    少女は盛大にため息を吐く。私という人が分かりかけてきたのか、ツッコミの兆しが見えてきました。    額を押さえ、少女が私へ視線を向けます。   「あなた、こんな場所で何をやってたの?」   「いい質問ですね。実は何もしてませんでした」   「……はい?」    起きたら襲われたので、間違ってはいない筈です。    頭の上に?を浮かべる少女。けど彼女は、すぐ何か納得したかのように、手をポンと叩きました。   「あなた、別の世界から来たのね」    見事命中です。ほう、この物分かりの良さ――前例があるのでしょうか?    この人、害はなさそうですし、語ってみますか。   「はい。別の世界から来ました。なんか世界の管理人だとかいう、変な人に会いまして……。ここで目覚めた次第です」    大まかに、かくかくしかじかと話します。    すると、不審者を見るような目をしていた少女が、一変して好奇に満ちた視線を向けてきました。   「なるほど。つまりあなたは、この世界の人間じゃないと。そういうことですわね?」    先程自分でそう口にしていましたのに、また言いますか。    悪役のような笑みを浮かべ、少女は私を下から上まで舐め回すように観察します。    流れからして……異世界からやって来る人間は珍しい、とかですかね。  「ま、まさか――私の身体が目当てですか! 冗談本気にしちゃうタイプですか!」   「ち違うわよ! 珍しいから見てただけ!」    分かっててもふざけてしまうのが、私の性でございます。    それにしても……やっぱり異世界からの来訪者は珍しいんですか。  
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