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顔を赤くしてツッコむ少女。それを見て、一人納得する私。
ホイホイ来られたら私の稀少価値がなくなるので、珍しいのは有難い話です。むしろオンリーワンくらいが主人公として適切です。
「勘違いしてすみません。いやらしい視線を感じたもので」
返答に、私が満面の笑みでそう言うと、少女は小さく唸りました。図星だったみたいです。
大方、珍しいという私を利用する算段でもつけていたのでしょう。
いい人ではありますが、やはりそれくらいの下心はあるのが当然。
しかし不信感や危機感は抱きません。
この人の『利用』は大したことではない。そんな気がします。
お人好しなのです。初対面で、ここまでふざける私を、まともに相手しているのですから。
だから、下心を感じようと然して気にしませんでした。
「コホン」
うー、とか、あー、とか唸ること数秒。少女は大袈裟に咳払いをしてから、話を切り出します。
「……あなた、行く当てはあるの?」
身体目当てと言われたから、気にしているみたいです。
口にするのも恥ずかしそうに、告白をする女子のような恥じらいを見せます。
「勿論ありません。あ、拾ってくれるんですか?」
そこへ追い打ちをかける。少女は腕を組んで、ツンとそっぽを向きました。
「馬鹿っ、違うわよ! ちょうど働き手がいなかったから、雇ってあげようかと思っただけ!」
なんともまあ……。逆に引くくらいのテンプレなツンデレです。
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