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けど、典型的なのも嫌いではありません。っていうか、可愛い女の子なら大抵いけますし。
「なるほど、ニュアンスの違いですか。重要ですよね」
「……なんか馬鹿にされてる気がするわ」
ニヤニヤする私に、少女はうんざりした調子で言います。
一応愛でてるんですけどね。
「で、雇われる? 別に返答はいつでもいいけど――」
「雇われます。是非、働かせて下さい」
「……」
少女は呆気にとられました。傍目から見て分かるくらいに。
そのままフリーズ。動かなくなります。
「駄目でしたか?」
「だ、駄目じゃないわ。けど、あなたは異世界に来たばかりで、私にも会ったばかりで……分かりますわよね?」
即答しすぎですか。迷いがない私を、不思議がっているみたいです。
私も不審に思うでしょう。
けど、今の状況を考えたからこそ、この結論に至ったのです。
一人で歩いては、まともに生活できませんし。この人に粘着するのが最善です。
考えて、私は真面目な表情で言いました。
「私はあなたを信じてますから。私を助けてくれたあなたを。……だから大丈夫です」
「馬鹿ね。騙されても文句言うんじゃないわよ?」
少女は顔を少し赤くさせ、ぶっきらぼうに返します。
騙されても文句は言うまい。騙されて奪われるものはありませんし、美少女に虐げられるなら本望です。
簡単な生物なのです。私という人間は。
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