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「……つ、疲れた。なんでこうふざけるのかしら」
「あはは、仲良しさんだね」
息を切らせたフルスさんへ笑いかける姉。フィコさんは、なかなかに平和な頭の造りをしているみたいです。
漫才コンビが仲良しと限らないように、私とフルスさんの仲はそれほど良くはない……筈。初対面ですし。
「仲良くないわよ、こんな奴。ただ雇ってあげようと思っただけ」
「とか言って、さっきは私に愛を囁いてきたんですよ」
それはよく分かっているんですけど、ついふざけてしまうんですよね。
「囁いてないわよ!」
そして叩かれるんですよね。
フルスさんは私を叩いた手をひらひらさせつつ、大きなため息を吐きます。
「止めてよね。姉さん勘違いしやすいんだから」
「フルス……私はフルスが女の子好きでもお姉ちゃんだよ!」
「ほら、こんな風にすぐ誤解するんだから。
姉さん。私の趣向で血筋が変わったら大問題よ」
冷たい。すごく冷たい返しです。
フィコさんはフィコさんで、すぐ誤解するとか言われてるのに、気づいてないし。
「え? じゃあフルスが女の子好きになっても、私の妹なの?」
「ええ、そうよ。それは変わらないから安心して」
「そっかー。良かったぁ」
これ誤解しやすい云々以前の問題で、単にフィコさんが馬鹿な気がしてきましたよ。
天然……ってやつなんでしょうか。これも。
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