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大広間はその名の通り、大きな広間でした。
真ん中に巨大なテーブル。部屋の周囲にはソファや棚やら、気品を感じさせる家具の数々があります。
屋敷の外でしばらく待機した私は、真っ直ぐこちらへ通されました。
「彼女が新しい仲間になる子よ」
後ろの入ってきたドアを閉め、フルスさんは大広間に集まった面々へ声をかけます。
そのままテーブル前まで行く彼女へ続き、私も歩く。テーブルの周りに座る皆さんの注目が、私へ集まりました。
自己紹介のタイミング、ですね。私は息を大きく吸い、元気よく言います。
「キリサキ ロウです! 皆さん、よろしくお願いします!」
『……』
沈黙が広がりました。
な、なんでしょうか。皆さん私を見て戸惑っているような。私普通に挨拶しましたよね?
不安になった私は、唯一の知人であるフルスさんを横目で見やります。
……あら? 目を逸らしてますよ?
後ろめたいことがあるみたいです。追求しようとしたその時、一つの声が上がります。
「別に変人じゃねえな。フルス、話が違うぜ」
直接的な物言いと男らしい口調。フルスさんに意見を述べた彼は、そのしゃべり方が似合う、身体の大きな男性でした。
黒い、軍服のようなコートを着ており、ボサボサの金髪が目立つ頭には、コートとお揃いの黒い帽子をかぶっています。
服で肌はあまり見えていませんが、結構筋肉があるような気がします。
そんな感じの野性的な面なのです。男らしさ全開で、少し暑苦しいくらいです。
女性好きな私は、一目でこの方が苦手だと分かりました。女性らしさが微塵もないんですもの。
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