一章:遭遇

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  「あたしはそうは思わないけど。むしろ身の危険を感じる」    紳士さんの有り難い台詞に、反論が出ます。    私は視線をそちらへ。先程まで認識できなかった女の子が、そこにいました。    小さな身体。可愛らしい顔立ち。意識せずとも視界に捉えるだけで、キュートさを感知できる女の子。    彼女は、元の世界で『幼女』と呼ばれる生物に酷似していました。    これは可愛い……。早く見つけられなかったことが悔やまれます。    小さすぎてテーブルから頭と肩しか出てないので、つい見逃してしまいました。   「こんな変人がいたら、フルス様が危ないよ!」    ふむふむ……髪は赤っぽい茶。一般的なロングヘアですね。カチューシャと、肩までの服装を見ると――おそらく、メイド服姿。    ということは、この方もお屋敷で働く仲間なのですね。信じられませんが。   「ちょっと! 貶してるのになんでニヤニヤしてるの!?」    ふむ、年齢は幾つなのか気になりますね。    敵意を剥き出しにしている幼女さんを前に、私は観察を続けます。怒っている顔も可愛い。   「本当に変人だ……。フルス様、なんでこんな奴を雇うんですか?」    こんな奴とはひどいですね。その問いは私も気になりますが。   「……それはさっき言ったでしょ。異世界から来た人間だからよ」    頭痛がひどいのか、額を押さえながらフルスさんは答えました。    『異世界から来た』。    それは果たして、雇うという選択に釣り合うメリットなのでしょうか?    私にはそう思えませんでした。    フルスさんは異世界から来た私に驚きませんでしたし、それほど珍しくない事なのだと分かります。    となれば、わざわざおかしな私を雇う必要はないのです。私よりもっと強い来訪者もいるでしょうし。  
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