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「やっぱり影が薄いんですね、僕。けど、もうそんなことは言わせな」
「次」
「くぅっ……!」
無慈悲にも司会は順番を回します。
どんどん短くなっていく台詞。そして律義に守る必要もないのに、肩を落としながら大人しく席に着くクロイツさん。
それらは、スイッチ一つで穴に落ちていく芸人を彷彿とさせます。落ちる側も落とす側も、回数をこなす度にタイミングを掴んで、だんだん巧みになっていくアレです。
「……」
さて、最後です。小さなメイドさんが立った――のですが、おでこから下がテーブルに隠れてしまうので、彼女は小走りで移動しました。
まだ私が気に入らないのでしょう。不機嫌な表情をしています。
それでも、きちんと私に見える位置へ移動する幼女さんは、とても可愛らしかったです。眼福です。
「シュネー・フリーレン。……メイドを束ねるメイド長よ」
ツンとそっぽを向き、シュネーさんは言いました。
つれない態度も可愛いです! テーブルで見えませんでしたが、メイド服もヒラヒラしてて可愛い!
にやけて手を振る私を睨み、シュネーさんは着席。
自己紹介は終わりました。司会を務めていたフルスさんは、満足げに頷きます。
「よし、これで終わったわね。じゃあ、今日は解散――」
「ちょっと待った」
「ん? まだ何かある?」
フルスさんを止めたバッケさんへ視線が集まります。
何か用があるのでしょうか? 他に話すことといえば……。
「ロウをどこで働かせるか、まだ決めてねえじゃねえか」
あ、仕事の話でしたかー。
「確かに。大切な問題ね……どうしよう」
ううむ、労働というのは初体験で不安ですが、避けるのは無理ですよね。覚悟を決めなくては。
悩むフルスさんへ、私は胸を叩きます。
「私はなんでもドンとこい! ですよ」
「受け取る側がドンとこいじゃないのよ」
そりゃ尤もです。
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