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働かせる側にも事情があります。ポッと出の私が働くのは、大きな迷惑をかけることでしょう。いつ仕事に慣れるか分かりませんし。
フルスさんの答えにショックは受けませんでした。が、自分ばかりを考えて恥ずかしいことを言ってしまった、という後悔はあります。
ちなみに自分のこととは、好感度稼ぎのことです。
「けどロウはやる気はあるみたいだし……多分、なんでも大丈夫よね」
「じゃあ俺のとこに来るか?」
「私は歓迎する」
「僕も問題ないですよ」
「こっちには来んなっ」
次々と上がる声。大歓迎ですね。一部を除いて。
これだけ優しくされると、嬉しい気持ちになります。
同時に、敢えてシュネーさんのところへ行ってやろうかなー、なんて気も。うふふ。
「これはこれで悩む……」
シュネーさん以外が私を受け入れられる状況に、フルスさんは頭を抱えました。意外と優柔不断です。
「ならばお試しで私と働くのはどうかね?」
そこで提案したのはリーレンさんです。気軽な感じで手を挙げながら彼は言いました。
雑用だと言っていましたし、仕事初心者にはうってつけの業務内容なのですね。多分。
と思ったのですが、フルスさんは露骨に眉をしかめました。
「えー……私は反対だけど、ロウは?」
どこでもいいと言っていたのに、なんて変わり様。
よ、余程の理由が? 本能が危険だと警鐘を鳴らします。
――しかし、好感度を考えるとここは。
「大丈夫です! 法的に問題ないことなら、何でもやりとげてみせます!」
受け入れるしかありませんよね! 何事も弱気ではいけないのですっ。
最低限の保身をして、私はまさに安請け合いと言うべき対応をとりました。
これがあの、悪夢の始まりとは知らずに……。
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