一章:遭遇

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                     あっという間に一日が過ぎました。    朝に昼、そして夜。    世界は違いますが、時間は同じように過ぎていきます。    誰もが知っていること。    常識が通用することが、とても嬉しかったりします。    私は地球から、異なる世界に来ました。嬉しくもありますが、やはり不安でもあるのです。    私は無力にも近い存在なのですから。    魔物がいるこの世界では、どんなタイミングで死んでもおかしくはありません。    そう。こうして、お屋敷の庭で寝転がっているこの時も、常に死の可能性はつきまとっているのです。    ……だから、有り難いのです。    優しい人たちに囲まれて、ふざけながら過ごせるということが。    そして、楽しくて、一日があっという間に過ぎたと思えることが。    嬉しいのです。       「……こんなところにいたのね」    静かだった庭に、小さな足音と優しげな声が聞こえます。    寝転がりながら視線を横へ向けると、フルスさんが私の横へ座っていました。  
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