一章:遭遇

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  「よいしょ……」    夜の真っ暗闇の中、フルスさんはランプを私との間に置きます。    ちょうどフルスさんを確認できるくらいの、柔らかな光が私達を照らしました。    暗闇の中にできた、温かな空間。私に光を運ぶのは、やはりフルスさんなのだと思いました。    フルスさんはランプを誇らしげに軽く叩き、微笑みます。   「星でも見てたの?」   「そんなところです」    私は答え、仰向けになり空を見上げます。    地球と変わらない星空がそこにはありました。月は二つほど浮かんでいますが、星の煌めきは変わらず空に瞬いています。   「けど、今はもう見る気がしません。星よりもっと綺麗な人が来ましたから」   「……馬鹿ね」   「真面目に言ってますよ?」   「だから馬鹿なのですわ」    ペシッと軽く額が叩かれます。ツッコミとは違って、不思議と心地よい感覚でした。   「ロウ。何か……悩み事はない?」    私の額に手をやったまま、フルスさんは訊きました。    彼女の手から伝わる体温のような、温かい気遣いが窺えます。   「特にありませんよ。なにか悩んでいるように見えましたか?」   「……お祝いの最中に抜け出したら、心配になるのが普通よ」    あ。そういえば、そんなことをしたんですよね、私。    仲間になったお祝いの、食事会をしている最中に、私はこの場所へ抜け出したのです。    フルスさんが心配するのも仕方ないですよね。  
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