一章:遭遇

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  「嬉しかったんです」    心配をかけて、冗談で紛らわすわけにはいきません。    私は身体を起こすと、抜け出した理由を語ろうと口を開きました。   「新しい世界に来て、一日でこんないい人達に会えて。私は……希望を貰いました」    言っていて、恥ずかしい気もします。けどまあ、普段の私の方が恥ずかしいので、これくらい我慢しましょう。   「楽しかったです。ふざけて、優しくしてもらって、ちょっと怖かったですけど、スリルもあって。体感ですが、あっという間にこの時刻です」    だから、と私は続けます。   「私は星を見ていたんです。この空のどこかに、私のいた世界が見えないかな、と思って」   「恋しいの?」   「いえ全く。けど、地球のみんなに自慢したくなりまして。『私はこんな幸せだ』と」    先の見えない闇から目を離し、私はフルスさんへ視線を向けます。    光の中にいる彼女は、きょとんとした表情をしていました。    私はそんな彼女へ笑いかけます。   「あなたのお陰ですよ、フルスさん。私を助けてくれてありがとうございます。大好きです」   「ば、馬鹿! そう軽々しく好きだとか言わないの!」   「じゃあ愛しています」   「『じゃあ』ってなによ!? いやそれ以前に愛していますでも駄目!」   「えー」   「えー、じゃない!」    私を助けてくれて、居場所も与えてくれて……本当に、嬉しいです。大好きです。        私はふざけながら、密かに決意します。    フルスさんに恩返しをしよう、と。        私は、彼女の運んだ光の中にいるのだから。  
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