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名前を的中されたから?
……いや、違う。もっと別の何かが、私の疑いを晴らしています。
彼の言っていることは正しいのだと。
自分でもまったく心覚えがないのに、不思議なものです。
「なるほど。ではその証拠は?」
「すぐに分かるさ。ただその前に、僕の質問に答えてもらう」
見とれるような笑顔を浮かべて、有無を言わせずに人物は言う。
私は反論も対抗もする気がしませんでした。
それに世界の管理人ならば、言うことを聞いた方がいいでしょう。
ふざけんな、帰りたい、チート能力よこせ、と喚くのは場違いでしょう。ええ。
「では第一の質問だ。君は何が得意なんだい?」
静かに質問ははじまりました。
素直に考えます。私の得意なこと……なんでしょう?
「武器の扱い、ですね」
今までの人生、武器について考えたことが大半かもしれません。
ゲームや漫画に出るキャラクターに憧れたのが原因でしょう。
色々と自主的に訓練してましたし、痛々しいながらも一般人よりは武器の扱いに長けている筈。
「では第二の質問だ。君は属性なら何が好き?」
いきなり質問がおかしくなりましたね。
さて……妹属性とでも答えましょうか。
いや、でもこれはどう考えても私の今後を決める大きな質問の筈。
ほら、よくあるでしょう。
得意だとか、好きなものだとかを聞かれて、答えたものが本当に得意になるとか。
異世界、転生モノの定番です。
そう考えると、第一の質問は成功でしょう。
で、第二の質問です。『属性』……は、多分、選んだものが私の属性になるのでしょう。
――良かった。何も考えず、『妹属性です』とか言ったら、どうなっていたか。
対になる姉属性が私の弱点になったり、妹属性に関連した技を覚えたり……カオスにしかならないでしょう。
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