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それにしてもこの統率――メイド長だという自己紹介は本当でしたか。
ただ聞くだけではとても信じられませんでしたが、こうして長らしいところを目の当たりにすると、疑い様がありません。
何歳なのか本格的に気になってきました。しかし女性に年齢を聞くのは失礼ですし……。
「ちょっと早いけど、今日の訓練はここまで。みんな、お疲れさま」
『はい!』
皆さんからそれぞれトーンの違った言葉が返されます。
途端に張り詰めていた空気が緩みました。皆さん、充実感に満ちた表情をしています。
軍隊から、いきなり部活動へ変化するような空気の落差がありました。
「訓練は終わったけど、続けてお知らせするぞ。こいつは昨日入った新人のキリサキ・ロウだ」
シュネーさんはそう言って、私の脇腹を軽くつつく。
言わずともそれだけで分かりました。自己紹介ですね。
「キリサキ・ロウです。昨日からシュネーさんの夫としてここに来ましたうあ゛っ」
シュネーさんの拳が、私の腹部を綺麗に捉えます。威力は軽く唸る程度でしたが、フルスさんより容赦ないです。
笑顔のまま腹部を押さえ、私は自己紹介を続けます。
「すみません。お嫁さんも彼女も現在いません。可愛い方募集中です……」
嗚呼、皆さんの苦笑が心に滲みる……。
ダメージは若干ありますが、これで私という人物を大体理解いただけたでしょう。
「はいどうも。というわけで、こいつの相手をできる人いるー?」
肉体的にはツッコミしてくれるのに、残酷なほど言葉では相手をしてくれません。シュネーさんは冷たいアナウンサーのように短く礼を述べ、皆さんへ声をかけます。
流されるのが一番堪えるんですよね……。その点フルスさんは、本当にからかい甲斐があります。
「はい。僕はどうですか?」
シュネーさんに応え、手が一つ挙がりました。
手を挙げたのは、昨日話したクロイツさんです。優しい人です。自分から進んで出てきてくれるとは。
「却下。クロイツは強すぎる」
しかし一秒もしない内に断られる辺り、彼らしいと言いますか。
――っていうか、クロイツさん強いんですか。
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