二章:新たな日常

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   ――ま、私の特性はどうでもいいとして。    私をボコボコにする以外特に思い浮かびませんし……何をするんでしょう?    意図を理解できず首を傾げるていると、シュネーさんが手を叩きました。   「おーい、リーレン。持ってきてー」    リーレンさん? 訓練をしてて、今は列の中にいましたよね。何か持ってましたっけ?   「うむ、任せたまえ」    さっきまで列に並んでいた筈のリーレンさんが、私の後ろから現れました。    大きな箱を持って颯爽と。   「あれぇ!?」    現れる場所がおかしくないですか!? 瞬間移動!?   「どうしたのかね? すっとんきょうな声を上げて」   「え、だって、さっきまであそこで並んでましたよね?」    列の中。一人分のスペースが空いた場所を指差します。    リーレンさんがあそこにいたのは間違いありません。となれば、何か信じられないようなことが起こった筈です。例えば魔法とか。    人間がたった数秒で移動するわけがありません。   「些細なことだ」    物理法則を超えることは全然些細じゃないです、リーレンさん。    彼は朗らかに笑いながら、手にした箱を地面に置きました。ガシャガシャと賑やかな音が立ちます。   「ほらロウ君、選ぶといい」   「答えてくれないんですね……」    気にしないでおきましょう。この世界なら、これくらい起きてもおかしくないですし。    自分で自分を納得させて、地面に置かれた箱へ目をやります。  
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