二章:新たな日常

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   剣と斧、ハンマー、短剣に槍、グローブ。色とりどりな武具がそこに詰まっていました。    どれも新品なようで、キラキラと光っています。部屋に置いてきた私の初期装備よりもはるかに質が良さそうです。   「これは……?」   「我が商会、自慢の新商品だ。好きな物を選ぶといい」    防具に続いて武器まで。なんだか申し訳ないですね。   「なに、遠慮することはない。ここの皆は、こうして自分に合った武器を見つけたものだ」   「そういうことなら……」    リーレンさんに促されるまま、有り難く頂戴することにします。    とりあえず槍でしょうか。剣より扱い易いと聞いたことがあります。    鉄製の柄を掴み、箱から引っ張ります。他の武器と擦れ、刃物独特の音が立ちました。刃を研ぐときのような、好きになれない音です。   「っと……」    私の手に槍の感触が伝わります。    長く、軽い。    矛盾した二つの要素。どうやらそれは、槍を構成している素材が原因で、発生しているみたいです。    合金というやつでしょう。それか、この世界だけの不思議物質だったり。    柄も刀身も銀のようなもので造られていて、薄い青色も混ざっています。とても美しい槍でした。    無意識に槍を手にした私は、さながら棒術のように振り回します。    中々手に馴染むいい槍です。これでバットに巻くグリップのテープでもあれば、さらに使い易そうなんですが。   「それでいい?」   「はい。不自由があれば適当に変えていきますから」    シュネーさんに答えて、私は槍を構えました。    いつの間にか皆さん後ろに下がっており、私の近くにはシュネーさんしかいません。    実戦式の訓練。皆さんの評価を頂くためにも、ここは頑張らなくては。  
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