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「では剣と……ハンマーを貰っておきますね」
なんだかんだ一番よく戦えた剣と、色々使えそうなハンマーを選択。
剣を腰に。ハンマーは背中に。重いですが仕方あるまい。それにこうして歩いていれば、体力も上がるでしょう。
「それでいいの?」
「はい。わざわざ私のためにありがとうございます」
「ふん、これは恒例なの。恒例」
勘違いしないでね、と念を押すシュネーさん。恥ずかしそうに顔を赤く染めた彼女は、落ち着かない様子でレイピアを弄ります。
彼女の頭を撫でたい衝動になんとか耐え、私は皆さんにも頭を下げました。
「皆さんも見守っていただき、ありがとうございました。これからよろしくお願いします」
「こちらこそっ」
「よろしくねー」
「ふっ。精々精進することだな」
「頑張ってー」
全員が私を見て、頭を下げ返してくれました。口々に返事もくださり、和気藹々としたいい雰囲気です。
仲良くなれる……気がします。なんとなくですが、間違っていないと確信がありました。
「挨拶も済んだようだな。では、解散するとしよう」
訓練、そして挨拶が終わり、リーレンさんは解散の合図を出します。
皆さんは頭を軽く下げ、『お疲れさまでした』と一言。私に手を振って屋敷へと去っていきました。
庭にはリーレンさん、クロイツさん、シュネーさん、そして私のみが残留。
――いきなり寂しくなりましたね。
二桁から一桁へ移行です。個性の濃度は相変わらずですが、大人数という要素が、ぽっかり抜けてしまいました。
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