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ざわざわとした人の気配がなくなり、街からは何かの汽笛が聞こえます。
遠くに賑やかさを感じ、けれどもかつて活気に満ちていた私達の周りには、無音に近い空間が展開される。
まるで活気という波が立ち、遠くへ流れていくようです。
明日の朝には庭へ波が戻り、そして再び流れていくのでしょう。訓練が毎日行われるなら、の話ですが。
私は珍しく真面目な顔をして、物思いに耽ります。
無意識に髪へ触れ、嘆息。
……残ってしまいました。皆さん、お屋敷に帰ったのに。
でも仕方ありません。解散と言われても、私には行く当てが部屋以外にないのです。
無論、部屋に戻っていいとは思いません。仕事があるのですから。
だからこの場に留まったんですが……あのまま指示に従って、私もお屋敷に戻った方が良かったんですかね?
沈黙が長い故、微妙に心配になります。
「ロウ君」
「ふぇ!? あ、はい! 何ですか?」
急に声をかけられて、奇声を発してしまいました。背筋をピンと伸ばし、私は反射的に応答。それから一瞬の間を空けて、我に帰ります。
呼びかけに反応して返事を返す。それを無意識に行える特技が、私にはあります。
「ご苦労様。シュネー君も言っていたが、君の動きは素晴らしいな」
リーレンさんが髭を触りつつ、ダンディに賞賛のお言葉をかけてくれました。
残ったのは間違いじゃなかったみたいです。一安心。
「そうですね。僕も驚きました。今度一回戦って下さいね」
続いてクロイツさんからも嬉しい台詞を頂きます。
ふむ、これはまさか……私って強い?
ちょっと調子にのりはじめる私へ、シュネーさんが軽くボディを入れました。
「言っておくけど、あたしが一番弱いぞ。槍使った状態で」
……まあ、物語の展開的に分かってなかったわけでもありません。
四天王の一人と戦って、「奴は最弱……」みたいなことなんて、日常茶飯事ですし。そもそも敗北を喫した初戦の次に、また強い人と戦うなんて鬼畜ですし。
だけどちょっとは、私つえーしたいんです。そういうお年頃なんです。
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