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「結局、私は弱いほうなんですね」
「否定はしない。しかし、あれなら私達などすぐ超えていくだろう」
まずは凡ミス減らしからだな、とリーレンさんは笑います。
訓練中はかなりみっともないミスを連発しましたからね。何回武器が伝説になったことやら。
そんなことをやらかす内は、とてもじゃないけど勝てません。頑張らないと。
「……あれ?」
ふと、頭に疑問が浮かびます。
そんなミスをしつつもシュネーさんに勝つ私って、かなり強い……?
強くなくとも、伸び代はあると言えましょう。ミスを減らせばまともになる筈ですから。
なるほど。リーレンさんの発言にはそのような意味もあったんですね。
「――さて。では行こうか、ロウ君」
「はい?」
またまた思考の旅に出ていた私は、間抜けな返事をしながら顔を上げます。
「仕事。私と一緒に働くのだろう? ここからはメイドや執事とは別行動だ」
あ、そういうこと。
リーレンさんの仕事は雑用でしたよね。買い出しでもするんでしょうか?
歩き出す彼へ、私もついていきます。方角はお屋敷の方ではありません。出入口の門へ向かっていました。
「シュネーさん、クロイツさん。ありがとうございました」
「頑張って下さい」
「精々頑張るのね。倒れても面倒なんてみないぞ」
別れの挨拶をする私へかけられる、激励の言葉。それらは私を元気づけると共に、胸に抱いている不安を更に煽ってくれます。
『頑張る』、『倒れても』……あまり不吉なことを言わないでほしいものです。
フルスさんの態度が気にかかりますし……本格的に気をつけておくとしましょう。
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