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盗み聞きはともかく、私とシュネーさんの関係に、何故反応するのやら。
はっ!? まさか百合好きの同士が……いや、でも男性の同士がいても。
シュネーさん、結構人気なんですかね。可愛いですし。
「あっははっ。ならシュネーを弄りがてら聞いてみるか。なあ、リーレン?」
「私に聞くな」
豪快に笑うバッケさん。リーレンさんはまたため息を吐いて、箱を指差します。
「仕事。したらどうかね?」
「お、そうだった。ロウが面白くて、つい忘れてたぜ」
「ここの責任者が何を言うか。頼りないことだ」
なんか、二人とも結構仲良さそうです。親子みたいに見えてきました。
さて、バッケさんは仕事を始めようと、箱の宝石を手に取ります。そしてさらに布を一枚空いている手に。宝石を軽く磨いてみせました。
「これをひたすら磨く仕事だ。地味だが……やらないと売り上げに関係するから、真面目にやれよ」
「これを磨くんですか? 十分なくらい綺麗ですけど」
宝石を一つ拝借。光に当てて眺めます。完璧な造型。美しい形、そして色。どう見ても完成品でした。
「ふ、そうだな。だが磨けばもっと美しくなる」
「だな。というわけで、よろしく頼むぜ、ロウ」
まあ、異存はないですけど。磨くだけならまだ楽ですしね。
バッケさんが来たときは製造の雑用ではなく、むしろ本業かと思いましたが……この程度なら内職レベルです。やらせて頂きましょう。
「さ、磨きますよー」
そんな軽い気持ちで、私は地獄を訪問したのです。
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