二章:新たな日常

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           何時間か経ちました。相変わらず辺りは賑やかで、休まずに音を奏でています。    私はその中で、ひたすらに手を動かします。宝石を磨くだけの、気の遠くなるような作業。    綺麗になっていく宝石に、達成感は覚えますが、それだけです。    何時間か、と書きましたが、どれだけ時間が経ったかも分かりません。    退屈で、大変な仕事でした。    あれだけ飽きないと思っていた、周囲の音にすら退屈を感じる始末です。    これは……内職レベルなんてものじゃありませんね。せめて会話があれば長続きしそうですが、リーレンさんもバッケさんも集中して、一心不乱に労働してますし……。    お喋りでふざけた私は、とにかく沈黙というやつが性に合いません。しかし空気を壊すようなこともしたくありません。二律背反。    仕事を舐めていました。元女子高生がいきなり労働なんて、馬鹿げた話だったのです。    ……はあ。女子高生のままではいけませんね。もっと気合いを入れなければ、並みの仕事すらこなせないでしょう。    それではフルスさんに迷惑をかけてしまいます。    頑張らないと。    私は一度頷き、作業に集中をはじめます。    どんなに退屈でも、フルスさんのためになるなら。            ふふ。主人公っぽいです、私。  
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