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「よし、終わりだ」
またしばらく時間が経った――と思います。不意にリーレンさんが顔を上げ、思い出したように言いました。
やっと終わりですか。集中を終え、箱を見てみれば中身は空っぽ。別に用意された箱には、眩しいくらい輝く宝石が収まっています。
随分働きました。その成果が目に見える形で現れています。
これは数時間くらい労働したのでは? いかんせん時計がないので分かりませんが。
「一時間か。朝食にしようぜ、みんな」
一時間……!? 一時間……だと……!? バッケさんが口にした、立ち上がりながらの爽やかな台詞に、私は動揺を隠せません。
もうお昼過ぎくらいかと思ったのに。私はいつから錯覚していたのやら。
「よーし、片付け。一旦飯にしてまた仕事だ」
ご飯を食べてまたこれをやるんですか……。皆さんすごいですねぇ。
私はどこか他人事のように、ぼんやりと考えました。
「ロウ君」
うふふと笑う私の肩を、リーレンさんが叩きます。
「私達は朝食をとったら、別の場所へ移動する」
うん……なんとなく、フルスさんがあんな態度をとった理由が分かりました。
雑用といっても、楽な仕事ではないようです。
多分、私の推測が正しければ、リーレンさんはあちこちの手伝いをしているスーパーマン。超人です。
それについていくことになるのだから……それから先は言わずもがな。
私は今日を無事に生きられるかすら、危うい状態なのです。
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