二章:新たな日常

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   剥がされたマントはフィコさんに預け、私は呼び込みを行います。    朝の作業の疲れはもう抜けていました。肉体的な疲れではなく、精神的なダメージが多かったみたいです。   「フルミネス商会ですー。武器に防具、アクセサリーはいかがですかー」    間延びした声で呼び込み。近くを通る人達へ聞こえる程度のボリュームで行います。    周りのお店がもっとアクティブに呼び込みをしているため、それほど恥ずかしくはありません。    しかし、声は小さいまま。また一時間近く作業をすると見越すと、そんな大きな声を出すわけにはいきません。    枯れた声で午後に大事なイベントが起きたら、大惨事ですからね。   「ロウちゃん、二時間くらい頑張ろっか」    衣装の話を忘れたフィコさんが、恐ろしいことを言います。    けど、大丈夫。このボリュームならずっと呼び込みをできます。    私の目論みはうまく作用する、筈でした。  
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