二章:新たな日常

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           フィコさんの言っていた二時間後には死体ができあがっていました。   「足が……痛いです」    商会店舗、カウンターの席でぐったり寄りかかる――私です。切り裂きロウです。    足が棒に、とはまさにこのこと。固まった足は動かさなくとも、鈍い痛みを全身へと伝えます。    呼び込みはまことに過酷な作業でした。声に気を遣わないといけませんし、立ちっぱなしですし、途中フィコさんはナンパされるし、私も巻き込まれるし。    地味な作業に突然のハプニング。なんだか落差の大きな仕事です。どれほど売れたのかも分からないですし、達成感もありません。    とても割に合いません。フィコさんの近くにいられたのは嬉しいですが、衣装云々が不安で愛でることもできません。眺めるだけというのは辛いものです。   「ふむ……二時間はやりすぎたか。明日から一時間に一回休憩を入れるようにしよう」    リーレンさん、最初からそうして下さい。私の体力を過信しないで下さい。    私は顔を上げて文句を言おうとしますが、止めます。リーレンさんと仕事をすると言ったのは私。事情を知らなかったとはいえ、ついていけないのは私の落ち度なのです。    開いた口を閉じ、カウンター奥でメモを書くリーレンさんを見ます。    私のことを考えて休憩も入れてくれていますし、ついていけない、なんてことは起きないでしょう。私の頑張り次第で。    フィコさんは呼び込みから続けて、店内で接客してますし……やはり私の体力が低いのですね。    これでも剣とか習ってて、身体能力には自信があったんですけど、世界が違うとこうも変わるものなんですね。    伊達に自衛を促す組織ではない、と。  
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